1. 超音波分散・乳化機の構成
分散/乳化を行うための超音波機器は、一般的に強力な超音波振動を発生させることができるホーンタイプになります。ホーンタイプは超音波溶着用とほぼ同じ構成となり、強力な超音波振動を発生させる振動子と、振動子を駆動するための発振器、振動子から液体に超音波を放射させるホーンから構成されています。分散/乳化に用いるホーンは洗浄用を用い一般の超音波洗浄機の10倍以上の強力な超音波振動を放射しています。なお、超音波乳化機は超音波ホモジナイザーとも呼ばれています。
2. 超音波分散・乳化機の使用例
水と油が入った容器に強力な超音波を照射すると短時間で混じり合います。これは乳化と言う現象になり、超音波で乳化した液体は長時間分離しません。この超音波ホモジナイザーは分散・乳化・反応・混合など多方面で使用されており、マヨネーズやジュース、インクやクリームなどの製造に使われています。
なお、液体中に溶け込んでいるものによっては、この逆に分離する(凝集)こともあります。
3. 発振器
発振器は、超音波洗浄用ではなく超音波溶着用を使用しており、商用電源の電力を超音波電力に変換しています。
振動子の作動周波数や振幅は使用するホーンや液温などで変わるため、最適周波数に電子回路が調整する「自動追尾回路」と「定振幅回路」を搭載しています。定振幅とはホーン先端振幅を一定にする機能で液体の有無や温度などにかかわらず、常に設定した振幅になるように作動させ、安定した処理ができるようになっています。
4. 振動子
振動子は超音波振動を発生させるBL振動子と、BL振動子の振幅を拡大する固定ホーン、固定ホーンの振動を液体に伝達する工具ホーンに区分されています。工具ホーンは処理能力や処理液によりさまざまな形状や材質のものが製作されています。
5. 周波数
超音波ホモジナイザーの作動周波数は主に20 kHzが用いられています。
6. 超音波分散・乳化の原理
超音波ホモジナイザーは、液体中に超音波振動を与えることでキャビテーションと呼ばれる大きな衝撃力をもった微小な気泡を発生させ、分散・乳化などをおこなっています。
超音波による分散では、0.1 μm(100 nm)以下のいわゆるサブミクロンオーダーの分散能力があるとも言われています。
7. 超音波分散・乳化の利点
超音波を使用した分散・乳化の大きな特長としては、ビーズなどのメディアがないので、コンタミネーションが少ないことや、メンテナンス性も良いこと、ランニングコストが安価なことがあげられます。
8. 超音波分散・乳化における連続処理
超音波を用いた分散・乳化装置で連続処理を行う場合は、処理容器(ホルダー)内を一定流量で通過させる方式が使われています。
処理量を増やす場合は、この容器+振動子を多段化する方法が一般的です。
9. こんな分散・乳化機があります
大量処理用
通液ホルダーを装備し、連続・循環処理からインライン連続処理システムまで幅広く対応します。
研究 / 実験用
ビーカーを用いたバッチ用の装置です。ラボジャッキでビーカーを上下し、最適な処理位置にセットできます。
少量 / 実験用
ハンディータイプの小型機で、少量処理用に最適です。
超音波分散・乳化機取り扱い企業
株式会社カイジョー
高い処理能力や機能/使い易さなどで分散・乳化・反応・破壊・混合など幅広い分野に!
超音波工業株式会社
普通では混合しない水と油、水と顔料のようなものでも容易に乳化分散でき、得られる乳化・分散液は安定しています。
BL振動子取り扱い企業
株式会社NTKセラテック
産業機器用や治療装置用など幅広い分野に採用されています。
本多電子株式会社
ボルト締めランジュバン型振動子:圧電セラミックスが機械的に結合されているため、高振幅励振時においても破損がなく堅牢です。
株式会社富士セラミックス
圧電セラミックス振動子の専門メーカーとして、特長ある各種振動子を1品から量産品まで対応します。