1. 超音波加工機の構成
超音波を用い切削/切断を行う機器は超音波加工機と呼ばれ、超音波振動を発生させる振動子と、振動子を駆動するための発振器、振動子からの超音波振動を被加工物に伝える刃物などから構成されています。
刃物は切断/切削等の用途に応じて、小型の刃や長刃、砥石付治具やドリル、バイト等を使用しています。
2. 超音波加工機の使用例
刃物や砥石に超音波振動を付加することで、堅いセラミックや金属の加工、型崩れしやすいケーキのカットが驚くほど綺麗にできるようになります。
また、切りにくいカーボン繊維の切断や、金型を滑らかに磨くこと、プリント基板の極細パターンのカットなどが綺麗にできます。
超音波振動で加工速度が改善し、加工面が滑らかになり加工精度が向上します。さらに刃物の寿命が延びるため作業効率が向上します。
3. 発振器
発振器は、商用電源の電力を超音波電力に変換しています。振動子の作動周波数は使用する刃物や砥石の状態などで変わるため、最適周波数に電子回路が調整する「自動追尾回路」を搭載しています。
また、超音波切削 /切断機の発振器は超音波洗浄用発振器と違い、「定振幅回路」を搭載しています。定振幅とは刃物などの先端振幅を一定にする機能となっており、被加工物の有無や加圧力などにかかわらず、常に設定した振幅になるように作動し切れ味を一定に保つようになっています。なお、超音波振動用の電力を扱っているため「発信器」ではなく「発振器」と表記しています。
4. 振動子
振動子は超音波振動を発生させるBL振動子と、BL振動子の振幅を拡大する固定ホーン、固定ホーンの振動を加工物に伝達する刃物又は砥石部に区分されています。刃物や砥石部は用途によりさまざまな形状のものが製作されています。
5. 超音波加工の種類と原理
超音波加工は用途や機能から、超音波振動と砥粒を使用した「超音波砥粒加工」と、砥石に超音波を付加し回転又は移動させながら加工する「超音波振動研削加工」の2種類の加工方法があります。
超音波加工機の作動周波数は15 kHz~40 kHzが実用化されており、効果や用途などから選ばれています。
刃物や砥石に超音波を付加することで加工性能は大幅に向上します。超音波を付加した砥石やドリル等を回転させたり砥粒を付加することで更に高速/高精度の加工が行えます。
超音波砥粒加工 超音波振動している加工治具に砥粒を流しこみ、微量ずつ破砕していく加工法。
極細穴や多数同時穴加工が可能です。
超音波振動研削加工 先端に砥石状の加工がされている加工治具に超音波振動を付加し、治具を回転又は/及び上下左右等移動させて加工する方法。
加工精度や速度の向上が可能です。
6. 超音波カッターと研磨機の原理
1秒間に1万5千回~4万回の超音波振動を砥石や刃物に加えることで、切削/研削抵抗が低減し、加工速度や加工精度の向上が可能となります。
7. 超音波加工の利点
超音波加工には、下記のような利点があります。

1. カケ、バリ、クラックの発生の大幅低減
2. 加工精度が向上
3. 加工による変質層、加工歪等のダメージ低減
4. 加工時間の大幅短縮が可能
5. 加工抵抗が低減し、刃物や砥石等の長寿命化が可能
6. 他の方式ではできない細穴や深穴、硬脆性材料の加工が可能
8. こんな加工機があります
超音波発振器

超音波加工用の発振器は常に一定の切れ味となるよう、振幅を一定にする機能が搭載されています。
超音波振動子

超音波加工用の振動子は、手に持ちやすい小型のものから、装置搭載用の頑丈なものまで、用途に応じた形状になっています。
ハンディータイプ

手に持って使用する超音波加工機です。小型の超音波磨き装置や、小型のカッターなどがあります。
超音波工具 ホーン刃

ホーン先端に刃付けがされており、様々なものをカットすることができます。
フードカッター

金属の加工のほか、柔らかいケーキやパンを型崩れなくカットできます。丸刃を用いると連続して切断が行えます。
超音波工具 砥粒加工用ホーン

ホーン先端に加工治具を取り付けたホーンです。砥粒を併用し穴あけや加工を行います。
超音波工具 砥石

ホーン先端に取り付ける砥石です。加工する形状に合わせた砥石があります。
超音波加工機取り扱い企業
精電舎電子工業株式会社
超音波溶着で培った技術を生かし、様々な形状、長さの超音波フードカット用のホーンを自社製作しております。
株式会社ソノテック
ソノテック製超音波カッター「SONOFILE」は樹脂・ゴム・布はもちろん難加工材の切断に効果を発揮します。
日本アビオニクス株式会社
不織布などの溶断、切断、フードカット、パッケージ加工など、様々な用途にご利用できます。
日本電子工業株式会社
炭素繊維材、セラミクス(SIC・サファイア・ジルコニアなど)、ガラス、単結晶Siなどの硬脆材料の精密・微細加工用装置です。
本多電子株式会社
超音波カッター(USW-334):価格も取り扱いもパーソナルユースに最適。ハンドピース収納ホルダー付きでコンパクト設計です。
BL振動子取り扱い企業
本多電子株式会社
ボルト締めランジュバン型振動子:圧電セラミックスが機械的に結合されているため、高振幅励振時においても破損がなく堅牢です。
日本特殊陶業株式会社
産業機器用(加工機等)、医療装置用(手術用メス等)、
幅広い分野に採用されております。
株式会社富士セラミックス
圧電セラミックス振動子の専門メーカーとして、特長ある各種振動子を1品から量産品まで対応します。
超音波による切断・切削は、超音波が付加された加工治具だけでも加工・切削性能が向上しますが、砥粒の使用や加工治具を回転させたり、加工治具の移動精度や加工速度の制御を行うことで、さらに製品へのダメージを低減し高精度・高速の加工を実現することができます。
超音波切断・切削装置は手動によるものから自動加工まで、材料や加工精度などから様々な装置が製作されています。



ガラス・セラミック精密超音波加工機
砥粒を使用し、常に一定した加工品質が得られるガラス・セラミック用の超音波自動加工機です。
加工用工具の送り込み機構に高感度加圧方式を使用し、工具の切り込みと送り速さ、超音波の振幅調整等を行っています。
大型加工物や重量物の加工、小径孔の多数個同時加工や深孔加工でその効果を発揮し、高精度で高速加工が行えます。


超音波振動切削加工機
高耐久の超音波スピンドルユニットと高精度加工装置により高硬度脆弱性材料の精密加工が行えます。
超音波を加えることで加工抵抗やワークダメージが低減し、また砥石の目詰まりや目つぶれが少なくなります。さらに高精度の位置決め機構を搭載し、高品質加工・高生産性を実現しています
超音波加工装置取り扱い企業
日本電子工業株式会社
超音波加工機を使った受託加工も行っています。お客様の加工物、加工図面を頂き製作を致します。