超音波機器は申請と届出が必要です
超音波洗浄機やウエルダー等の強力超音波機器を使用する場合、あらかじめ設置する場所を所轄する総務省の総合通信局長へ申請し、使用許可を得る必要があります。
「使用する場所」が問題となるため、移動や撤去、もしくは廃棄する場合も届出の必要があります。
当工業会の会員企業から申請が必要な超音波機器をお求めいただいた場合、必ず申請書類が付いておりますので、速やかに申請を行ってください。
なお、一部の輸入品などには、これらの法対応や設置関連の説明が不十分なケースもあるようです、ご注意ください。
また、型式指定を受けた強力超音波機器については、設置申請や各種届出の必要はありません、機器到着後すぐに使用できます。
対応法
電波法 第100条
電波法施行規則 第45条
無線免許手続規則 第26条
無線設備規則 第65条


超音波機器の法対応
申請が必要なわけ
超音波機器は工業用から家庭用まで広く使われており、わが国の産業に大きく寄与していますが、不良な設備からは高周波雑音(ノイズ)が発生する場合があり、テレビ・ラジオあるいは通信設備等に障害を与えることがあります。これを防止するため、守るべき技術基準を定めて「許可制」を取っているのです。 申請・届出が必要な機器の作動周波数は、[電波法 第8章 雑則 第100条]にて「10kHz(キロヘルツ)以上の高周波電流を利用する設備」となり、出力は[総務省令 電波法施行規則 第45条]にて「50W(ワット)を超える高周波出力を使用するもの」とされています。つまり、周波数が10kHz以上で出力が50Wを超える超音波機器を新たに設置する場合、あらかじめ総合通信局に申請し、許可を受ける必要があるということです。 具体的には、一般に市販されている工業用超音波洗浄機や超音波プラスチックウエルダー、加工機などがこれに該当します。
このノイズの技術基準は無線設備規則 第65条に規定されており、ラインノイズ(電源端子における妨害波電圧)と電波ノイズ(利用周波数による発射及び不要発射による磁界強度又は電界強度)が規制されています。ノイズへの対策は、超音波機器の製造会社が責任をもって対応しています。
なお、出力が50W以下の家庭用超音波洗浄機などは申請の必要はなく、[電気用品安全法(PSEマーク)]が適用されます。なお、工場の設備に組み込まれて使用する、50w以下の単独では作動できない超音波機器は、電気用品安全法の対象外とされています。


不申請で使用した場合
許可を受けず設置したり、許可状到着前に使用した場合は「電波法違反」となります。違反した場合は「1年以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処されます。 また、機器の使用中止を求められたり総合通信局のウエブサイトに企業名と内容が掲載される場合があります。
万が一、不申請で使用している機器がある場合は、速やかに申請を行ってください。

対応法
電波法 第百十条四 第百条第一項の規定による許可がないのに、同条同項の設備を運用した者

申請の種類と必要な書類
申請手続きは、初めて設置する場合の設置許可申請、追加設備する場合や設置場所を変える場合の変更許可申請、使用をやめる場合の廃止届、機器を第三者からき引継ぐ場合の許可継承届、本社名が変わった場合の許可状訂正申請書などがあります。
提出する書類は、初めて設置する場合は申請書・機器の概要などを記載した添付書類・設置場所付近の図・外形図になります。申請/届出の内容によりこれらの書類は変わります。
申請に必要な書類は、当工業会会員会社の機器には付属されています。なお、一部の輸入品などにはこの書類が添付されていないことや、申請の必要性に関する説明が十分行われないことがありますのでご注意ください。
また、当会は超音波機器に特化した申請方法や書類の記入方法などを記載したガイドブック「高周波利用設備の申請手続きについて」を作製しております。ご希望の方は次に記載の「申請ガイドブック」をご覧ください。
なお、申請書や届出書などの書類は「総務省のウェブサイト」からダウンロードできます。

高周波利用設備の申請の種類
・設置する場所で、初めての手続 許可申請書
・取替/増設/設置場所の変更 変更許可申請書
・機器の一部を撤去・使用場所の変更 変更届
・全設備の撤去(廃棄) 廃止届
・譲渡に伴う、社名又は住所の変更 許可承継届
・譲渡を伴わない社名又は住所の変更 許可状訂正申請書
・許可状の再発行 許可状再交付申請書

申請/届出をおこなう上で御不明な点がありましたら、申請される総合通信局まで相談されることをおすすめしております。
なお、現在の各総合通信局の申請・届出に関する窓口は、電波監理部 電波利用環境課 又は無線通信部 監視調査課となっております。



申請のガイドブック
超音波洗浄機や超音波ウエルダーなどの各種申請書や届出書などの記載方法は、総務省の総合通信局ウェブサイトに掲載されておりますが、申請が初めての方にとっては、わかりにくい部分もあるかと思います。 そこで、当工業会では「高周波利用設備の申請手続きについて」の小冊子をつくり、有償配布(600円 税・送料別途)しております。 申請の必要性から、地方の総合通信局の所在地、申請の種類、各種申請/届出の書類の書き方等をフローチャートを用い、わかりやすく記載されておりますので、ご希望の方はこちらをご覧ください



申請方法と費用
申請は、機器設置前に設置場所を所轄する総合通信局長に申請してください。直接持込や郵送となります。なお、許可状は申請後すぐには発行されません、一般的に1か月程度かかるとされていますので、余裕をもって提出してください。
この申請は「信書」に該当しますので、郵便物又は信書便として送付してください。ゆうパックや宅配便、メール便で送付はできません。

>地方の総合通信局の管轄とサイトはこちらから

なお、申請や届出の手数料はありませんが、封筒と切手代は申請者の負担となっています
総合通信局への許可申請が増え、事務の簡略などから「型式指定」の制度が導入されています。「型式指定」とは、電波法施行規則第46条が掲げる技術基準(利用周波数が10kHzから50kHzまでの範囲にある超音波洗浄機・超音波加工機・超音波ウエルダーで、ラインノイズや不要電波の放射値など)に適合している場合、製造メーカーが総務大臣に型式の申請を行い、当該申請に係る設備の型式について指定を受けることです。指定を受けた場合は指定番号が付与されます。「型式指定」を受けている超音波機器には左図のような楕円形のマークが発振器に表示してあります。このマークのある機器は総合通信局へ個別に申請する必要がなく、機器到着後すぐに使用できます。
型式指定マーク
2001年前に型式指定を取得した機器は「郵政省指定」となっています。また、***には指定番号が記載されています。
 超音波洗浄機・超音波加工機・超音波ウエルダーに関する電波法施工規則及び無線設備規則、無線免許手続規則の一部が2015年6月11日に改正されました。
 改正の主な内容は、ノイズ関連の規制値がCISPR(シスプル 国際無線障害特別委員会 Comite international Special des Perturbations Radioelectriques )の規格に整合した点となります。また申請時の「添付書類」の記載内容がされています。
 具体的には ラインノイズ規制値が盛り込まれ、漏洩電界強度の値がCISPR規制値となり、一部が磁界強度値に変更になりました。また、使用環境などに合わせた「機器の区分」が新設されております。
 この法改正に合わせ設置申請時などで使用する添付書類に、機器の区分や妨害波の発生の有無などの記入項目が追加されています。(添付書類 工事設計(16)~(19)項)
 なお、2015年6月11日から2020年6月10日までは、設置時の法適用期間外となっており旧法に基づいて製作された機器も設置申請が可能でしたが、2020年6月11日からは、この改正法に対応していない機器を設置申請した場合は違法となりますのでご注意ください。未申請の申請対象機器の設置申請等を行うときは、その機器が改正法に対応しているか否かをご購入のメーカーにお問い合わせください。
 すでに許可状をお持ちの機器や型式指定を受けている機器は、2020年6月11日以降も改正法に対応せずにそのままご使用でき、移動や継承が行えます。
 なお、旧添付書類(工事設計(16)~(19)項が無い)で設置許可等を受けた機器の移動や承継を行う場合は、新添付書類での申請が必要になりますので、申請・届を行う前に総合通信局まで記入方法等をご相談ください。 また、移動が同局内の場合は「添付書類の[1.工事設計]のNo.(16)~(19)は記載せず [3 参考事項]の欄に「無線免許手続規則第29条第2項において準用する第26条第3項の規定により工事設計の記載を省略する。」と記載するように総務省総合通信基盤局電波部から指示されております。 ただし、本記載を行い提出先の総合通信局に確認せずに送付した場合、諸事情により受理されないことも考えられますので、事前に管轄の総合通信局にご相談ください。
 詳しくは、総務省のウェブサイト内「新規制定・改正法令・告示 告示“新規制度・改正法令・告示” 」の「省令 平成27年6月11日 電波法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年総務省令第57号)」及び 「告示 平成27年6月11日 平成27年総務省告示 第207号、208号、209号、210号、211号」を参照してください。又は各総合通信局の高周波利用設備に関するページをご覧ください。
超音波機器に関連する法律
お使いになる環境や洗浄液及び廃液方法により、消防法や環境関連法などに抵触する場合があります。ご注意ください。

①騒音
超音波洗浄機自体に騒音に関する規制はありませんが、ご使用状態によっては、各種の法規制に適合することが必要になります。
たとえば、超音波洗浄機やウエルダーは対象物の処理中に特異な音が発生するケースがあり、この音量が法規制値以上になる場合があります。工場外に漏れる騒音などに対しては騒音規制法などがあり、工場の作業者に関しては労働安全衛生法で定める屋内作業における騒音レベルなどを考慮する必要があります。

②消防法
引火の危険性のある洗浄剤(たとえば炭化水素系洗浄剤やアルコールなど)は、使用時の液量や貯蔵量などで規制があります。貯蔵量などはお使いになる地域により異なりますので、最寄の消防署などにお問い合わせください。

③環境関連法他
洗浄液は廃棄や管理などに関する各種法規制があります。また一般の市水のみを用いた場合でも、汚れが混入し法規制に抵触している場合がありますのでご注意ください。
法規制例
*水質汚濁防止法  *下水道法  *水道法  *廃棄物処理法  *化学物質審査規制法  *化学物質管理促進法
*大気汚染防止法  *土壌汚染対策法  *海洋汚染防止法  *労働安全衛生法  他
超音波工業会規格
当工業会規格は、(社)日本電子機械工業会(現 電子情報技術産業協会 JEITA)が作成した強力超音波関連規格の廃止にともない、JEITAの使用許諾を得て超音波工業会規格として制定し、見直しや改廃を行っています。
USMAJ S-002 超音波洗浄機
改訂年月:2023.01  旧JIETA規格番号:AE-4001A
超音波洗浄機の構造や出力などの測定方法、銘板や取扱説明書の記載方法などについて規定。
USMAJ S-003 超音波電力計
改訂年月:2022.04  旧JIETA規格番号:AE-4007A
超音波発振器から振動子に供給される高周波電力を測定するための、超音波高周波電力計の仕様について規定。
USMAJ S-004 超音波出力測定法
改訂年月:2016.11  旧JIETA規格番号:AE-4005A
超音波の音響エネルギーが洗浄槽へ放射されると熱に変換される事を利用し、水温上昇を測定する事で超音波出力を求める方法。
USMAJ S-005 超音波プラスチックウエルダ
改訂年月:2021.01  旧JIETA規格番号:AE-4009A
超音波プラスチックウエルダの構造や出力などの測定方法、銘板や取扱説明書の記載方法などについて規定。


規格の購入は、当サイトのお問い合わせページからご連絡いただくか、FAX(042-578-8997)、お電話(042-578-8996)にてお申し込みください。
○価格: 一律 1,800円(税・送料別途)となります。
○お支払: 商品に請求書を同封いたしますので、到着後銀行振り込みをお願い申し上げます。※振込料は各位にてご負担願います。
○海外からのご注文: お受けできかねます。
○キャンセル: ご注文後のキャンセルはできかねますのでご了承ください。

JIS規格
強力超音波関連初のJIS規格C6790「ボルト締めランジュバン型超音波振動子の電力計法による負荷試験方法」は当工業会が原案作成団体となり制定されました。この規格は、超音波電力計を用いてBL振動子の内部機械制動損失や効率を算出する方法となります。
JIS C6790 ボルト締めランジュバン型超音波振動子の電力計法による負荷試験
改訂年月:2022.02  旧JIETA規格番号:AE-4006A
強力超音波関連初のJIS規格C6790「ボルト締めランジュバン型超音波振動子の電力計法による負荷試験方法」は当工業会が原案作成団体となり制定されました。この規格は、超音波電力計を用いてBL振動子の内部機械制動損失や効率を算出する方法となります。


BL振動子のJIS
本規格の入手に関しては、(一財)日本規格協会からご購入ください。
日本規格協会のホームページの、「書籍の購入・セミナーはこちらから」/「規格・書籍・物品」の書籍検索欄に「JIS規格」「C6790」と入力し検索してください。

一財)日本規格協会 出版事業部 営業サービスユニット
電話 (03)4231-8550  FAX (03)4231-8665  http://www.jsa.or.jp/
東京都港区三田3-13-12三田MTビル