超音波の応用で最も知られている超音波洗浄機。たとえばメガネ店にある小型の洗浄機が身近なものとして挙げられます。また、プレス部品やエンジン等の機械加工部品、スマホに使用されているLCD・レンズ、HDDの部品・半導体用ウエハ、医療用のメスやフラスコなど、様々なものが超音波によって洗浄されています。
強力な超音波振動を利用することでプラスチックの溶着や金属の接合が短時間でできます。身近なものとしては、100円ショップなどで販売されているガスライター。ガスが入る透明な容器と着火部分の黒いプラスチック部分を接着剤やネジなどを使わずに、1秒以下の短時間で溶着が可能です。また、自動車のプラスチック部品の溶着、金属端子の接合などに広く用いられています。これらの機器は、超音波プラスチックウエルダー・超音波溶着機・超音波ワイヤーボンダーとも呼ばれています。
砥石(といし)や刃物などに超音波振動を付加することで、堅いセラミックや金属の加工、型崩れしやすいケーキのカットが驚くほどきれいにできるようになります。また、切りにくいカーボン繊維の切断や金型を滑らかに磨くこと、石英ガラスの加工、プリント基板の極細パターンのカットなども行え、作業効率や品質が向上します。
水と油が入った容器に強力な超音波を照射すると“アッと言う間”に混じり合います。この現象は乳化と呼ばれており、超音波で乳化した液体は長時間分離しません。この超音波機器はホモジナイザーとも呼ばれ、分散・乳化・反応・混合などの用途で使用されています。なお、液体中に溶け込んでいる物によっては、この逆に分離(凝集)することもあります。
超音波の力で液体を瞬時に霧にでき、家庭用から医療・農畜産業まで幅広い分野で使用されています。高周波帯域の超音波で霧化した霧は、手で触っても濡れないほどに細かい超微細ミストになるので、空間全体に効率よく霧を行き渡らせることができます。20kHz帯の超音波を使えば、半田も粒子に出来ます。
超音波の直進・減衰・反射などの特性を生かし、様々な測定に使用されています。良く知られている例としては魚群探知機や結石を見つける超音波診断装置などです。また液体や気体の流量・流速、液体の濃度、液面の高さや車両台数の測定などにも超音波を用いた計測機が使用されています。